確定的安全とリスク

 

確定的安全と不確定的安全

安全を扱う体系において、まず『安全とは何か』ということを明確に定義することが不可欠です。安全は単に危険が存在しない状態ではなく、危険状態の揺れに左右されず、判定が安定している状態として捉える必要があります。この観点から、安全は『確定的安全』と『不確定的安全』の二つに分類されます。

確定的安全とは、影種(かげめ)が存在せず、揺味(ゆらじ)が発生しないため、危険状態の揺らぎに影響されない領域です。ここでは安全性が揺れず、判定が常に安定しています。一方、不確定的安全は、安全と危険の境界に位置し、危険状態の揺れによって判定が変動する領域です。揺れが弱ければ安全寄りに留まり、揺れが強まれば危険側へと傾きます。この領域は、危険状態の揺れの強弱によって性質が変化するため、危険性評価において特に重要な領域となります。

リスクとは目的に対する不確かさの影響

リスクは、ISO 31000 リスクマネジメントにおいて「目的に対する不確かさの影響」と定義されています。目的が安全の維持である場合、その不確かさは危険状態の揺れとして具体化されます。つまり、リスクとは、目的の達成を妨げる可能性を持つ揺れの存在であり、揺れが大きいほど目的への影響は深刻です。

安全の文脈では、揺れが強まるほど危険事象の発芽点が形成され、事象化の可能性が高まります。逆に揺れが弱ければ、安全の維持は容易となり、危険事象の発生確率は低くなります。このように、リスクは「揺れの強度」と「目的への影響」を結びつける構造的な概念として捉えられる。

安全のリスクとは危険状態の揺れ

安全に関するリスクを「危険状態の揺れ」として定義することで、確定的安全と不確定的安全の関係が明瞭になります。確定的安全は揺れの影響を受けないため、リスクはゼロに近い一方、不確定的安全は揺れの影響を直接受けるため、リスクが発生する領域となります。危険事象は揺れの中で発芽し、揺れが強まるほど事象化しやすくなります。

したがって、安全に関するリスクとは、不確定的安全の領域において、危険状態の揺れが目的(安全の維持)に与える影響の度合いのことです。この構造により、安全・不確定・危険の三分法が体系として整合し、危険性評価の基盤が明確に定義されます。

 

2026年08月01日