安全文化とは、人間の揺れと暗黙知を尊重し、技術と実践を通じて安全を育てる文化のことです。
SPUS 有用安全考房が追究する安全文化をご紹介いたします。
概念
リスクアセスメントとは、影種・揺味・紀射により気配を捉えて、危険性を見える化すること
危険は、『影種 (Still Well)・揺味 (Live Shift)・紀射 (First Glow) 』の三層で立ち上がります。これらの気配を捉え、危険源・危険状態・危険事象の性質を読み砕くことが、リスクアセスメントの本質です。
SPUS 有用安全考房は、危険源同定 (Hidden Spotting) 、危険状態同定 (Line Scanning)、危険事象同定 (Scenario
Mapping) からなる『危険性同定 (Hazardousness Identification) 』の手法を確立しました。これは、影種・揺味・紀射の三層で立ち上がる危険の芽を、構造的に読み解くプロセスです。RA/5Rs
で獲得する暗黙知の形式知化を通じて、『時空系 (Temporal, Spatial, Systematical) 』の切り口で危険性を見える化します。
リスクとは、安全分野においても、目的に対する不確かさの影響が適用できること
危害のひどさと発生確率には、避けられない揺れ(不確実性)が存在します。危険性同定によってその揺れの性質を明確にし、ISO 31000 リスクマネジメント-指針
のリスク定義『目的に対する不確かさの影響』を安全分野に適用することで、リスクを『意味のある不確実性』として扱うことができます。
SPUS 有用安全考房は、この不確実性を評価するために、DX技術を適用する『CARA (Computer Aided Risk Assessment)
』の開発と活用を推進します。
機械安全とは、 隠されている危険性に対し、安全性設計と信頼性設計で対応すること
危険性の構造を断ち切るのが『安全性設計 (Safety Design) 』、安全機能が確実に働くようにするのが『信頼性設計 (Reliability
Design) 』です。
SPUS 有用安全考房は、『'ON-SAFE STyLE' による安全性設計』と、『PL/PLr による信頼性設計』を組み合わせることにより、安全性・生産性・経済性の三立を実現します。
好事例とは、優れた機械装置に実例標章を貼付し、人々にウェルビーイングをもたらすこと
危険性同定から信頼性設計までを丁寧に行い、『ちょっとした工夫 (Little DEVISALs) 』を積み重ねた機械は、安全でありながら使いやすく、生産性を高め、経済性の高い『好事例
(Exemplar) 』となります。
SPUS 有用安全考房は、その証として『実例標章 (Paradigm Mark) 』を機械装置に貼付し、設計者の誇りと使用者の安心を可視化します。そして、機械にかかわる人々に『ウェルビーイング
(Well-being) 』をもたらします。
国際安全規格 ISO 12100
「ISO 12100 : 2010 機械類の安全性-設計の一般原則-リスクアセスメントとリスク低減」は、機械安全を行うための基本規格です。この規格に基づいて設計すれば、機械・装置の安全性を確保することができます。この規格は普遍的ながら定性的な要求であるため、より具体的で定量的な要求は、この規格の下位に位置する多くのISO・IECの規格に記述されています。ゆえに、設計の場面でこの規格を用いる場面は少なく、この規格で記述されている機械安全についての考え方や進め方は、必ずしも理解されているとはいえません。
このようなことから、ISO 12100の各項別にそれぞれの目的をあらためて考えてみます。安全な機械・装置を設計するという漠然とした状態から、リスクアセスメントやリスク低減に対する正しい認識により、適切かつ効果的に機械安全を実践できることが期待されます。
1. 機械類の安全性
機械類の設計において安全性を達成する
4. 方法論
3ステップメソッドに基づき、設計段階で方策を組み込む
5. リスクアセスメント
機械類に存在する危険源から生じるリスクを見積もる
5.2 リスクアセスメントの情報
定量・定性に関わらず、関係するあらゆる情報を収集する
5.3 機械類の制限の決定
機械類の寿命までの全段階を考慮した制限の仕様を決定する
5.4 危険源の同定
全局面での危険源・危険状態・危険事象を系統的に同定する
★R1 危険源同定
(Hidden Spotting)
★R2 危険状態同定
(Line Scanning)
★R3 危険事象同定
(Scenario Mapping)
5.5 リスク見積り
状況を勘案し、危害のひどさと発生確率からリスクを見積もる
★R4 危害同定
(Eschew Unwrapping)
★R5 危険性同定
(Potentiality Assessing)
5.6 リスク評価
他事例や見積もったリスクから、保護方策の必要性を判定する
6. リスク低減
危険源の除去、または、危害のひどさと発生確率を低減する
6.2 本質的安全設計方策
設計特性の選択により、有効性のある方策でリスクを低減する
★エナジーフローの自然仕掛け
(Naturetrols by Energy Flow)
6.3 安全防護
本質的安全設計方策後に残った危険源やリスクから人を保護する
★コアクティブモードの機械仕掛け
(Mechatrols on Coactive Mode)
6.3 付加保護方策
意図する使用や合理的に予見可能な誤使用において人が使用する
★ストレスフリーの人為仕掛け
(Handtrols to Stress-free)
6.4 使用上の情報
意図する使用に対する正しい情報を、使用者へ確実に提供する
★ストレスフリーの人為仕掛け
(Handtrols to Stress-free)
7. 文書化
提示は不要だが、実施した手順と達成した結果を文書化する
創造的思考の復活
ISO 12100:2010 における重要な作業は、5.2 リスクアセスメントの情報、5.3 機械類の制限の決定、5.4 危険源の同定の3つです。これらの作業で獲得する情報により、気づきや揺れ、違和感や気配を感じ取る心の状態に結びつき、『見えないものを見える化する』という本来のリスクアセスメントを実践できます。現在のような形骸化したリスクアセスメントを生き返えらせる方法は、3つの作業を本来の姿に戻すことしかありません。
ISO 14121-2:2007 が要求していた『創造的思考』を復活させるための手法が Risk Assessment / 5Rs です。SPUS
有用安全考房は Tacitability を活かす、リスクアセスメントのあるべき姿を追究し続けます。
未然防止
未然防止とは
未然防止は事故や災害の影響を低減するため、「もの」や「こと」に織り込むものです。組織の未然防止を支援するため、考え方と進め方をまとめた指針がクールメジャーズです。
1. 未然防止とは、何も起きていないことの理由を明確に説明できること
意味あるゼロとたまたまゼロには、雲泥の差がある
2. 未然防止とは、何も起こさないように設計者が密かに闘っていること
企画設計における設計者の不断の努力に、敬意を払う
3. 未然防止とは、暗黙知から類推して照合する形式知から生まれるもの
気づきを文書化し、別の気づきで活用していく
4. 未然防止とは、効率性と経済性のものさしにより可否を判定するもの
当初の目的を果たすものは、安くても良いものである
もちろん、事故や災害が発生した際に原因を分析して講じた対策は未然防止とはいえませんが、過去の原因と対策を引用し、「もの」や「こと」に織り込むことは未然防止の一つといえます。
設計者は担当する「もの」や「こと」に関する基準などにしたがって設計を行うだけでなく、過去の事故や災害に関する原因と対策を引用し、未然防止を適切に織り込むこと求められます。
未然防止をどのように評価するのか?
いろいろなトラブルを回避するための未然防止であるが、正しく評価することは大変難しいです。なぜなら、手を打っても打たなくても、何も変わらない場合が多いからではないでしょうか。そのような状況が続けば、そのうちにやめても良いのではないか、と考える人が出てくることは多いでしょう。しかし、そのような考えから止めてしまった後に、トラブルが発生してしまうことは比較的多いといえるでしょう。
未然防止が成功しているということは、何も起きていない状況そのものでといえます。それならば、成功というのはどういうことなのか、正しく認識することが必要になるでしょう。未然防止を確実に続けていくためには、成功の本質を知らなければなりません。
~ 成功の本質 ~
失敗で得られる教訓を活かすことにより、失敗しないことはできる。
しかし、成功にはたどり着けない。失敗しないことが成功ではない。
成功とはどのような状況なのだろうか。
やはり、何事も起きていないという状況だろう。
とすれば、何も起きていない状況の中に潜んでいる秘訣を探ることで、
成功の本質が見えるということになる。
秘訣は自然的なものと人為的なものに分けられるが、
分けたからといって成功の本質が見えるわけではない。
それにしても、何も起きていない状況の多くは、普通といえるのではないか。
そうであれば、何も起きていないことが普通なのか成功なのか、
いろいろな事例を見ながら、線引きをしなければならない。
成功の本質を探ることは、失敗の真因を探ることよりも遙かに難しい。
何も起きていない状況を広く深く長く、見たり聞いたり感じたりする。
そのようにして、暗黙知、いわゆる成功の体験として心に留めることが、
成功の本質にたどり着くための唯一無二の方法なのだろう。
書物を読んだだけでは理解できない世界に、成功の本質があることは間違いない。
成功の本質が潜んでいる方角は決まった。
さあ、成功をつかむ旅に出かけようではないか。
2021年7月8日
SECIモデル
四字熟語で表現するSECIモデル
知識創造を詩的に可視化する
SPUS 有用安全考房は、ナレッジマネジメントの理論的な基盤であるSECIモデル(S 共同化・E 表出化・C 連結化・I 内面化)を、詩的かつ文化的に再構成する試みとして、各プロセスに対応する四字熟語を選定いたしました。これは、知識創造の流れを日本語文化の深層と接続し、実践の場においてより豊かな理解と共鳴を促すものです。そして、SECI
モデルが知識の循環を示すのに対し、SPUS 有用安全考房はその前段階にある静かに潜んでいる暗黙知を重視し、判断の生成プロセスとして再構成しています。
SECIモデルとは
SECIモデルは、野中郁次郎が提唱したナレッジマネジメントの中核をなすフレームワークです。
暗黙知と形式知の相互変換によって、知識が創造されるプロセスの理論においての4段階で構成されます。
S 共同化 (Socialization)とは、
暗黙知を共有すること
E 表出化 (Externalization)とは、
暗黙知を形式知へ変換すること
C 連結化 (Combination)とは、
形式知を体系化すること
I 内面化 (Internalization) とは、
形式知を暗黙知として体得すること
SECIモデルと四字熟語
この流れを詩的かつ実践的に表現するため、以下の四字熟語を対応させました。
S 共同化
教学相長 (きょうがくあいちょうず)
戴聖「礼記」より
教えることで学び、学ぶことで教えが深まるという相互成長の構造を表します。SPUS 有用安全考房の共同会や研修における暗黙知の伝え合い・育て合いを象徴し、マネジメントシステムの基盤として、知識の基盤を形成する言葉です。参加者同士が教え手であり学び手でもあるという場の構造を示し、知識の共有が共鳴と深化を生むことを示唆します。
E 表出化
知行合一(ちこうごういつ)
王陽明「伝習録」より
実践を通じて語られなかった知が言語化・図式化されるプロセスを表します。SPUS 有用安全考房の評価法や記録化の活動を通じて、知と行が一致し、暗黙知が形式知へと昇華されます。技術と倫理が統合される場が生まれ、実践に根ざした知識が言葉として立ち上がる瞬間を象徴します。
C 連結化
温故知新 (おんこちしん)
孔子「論語」より
過去の知見を再構成し、新たな理論や枠組みを創出するプロセスを表します。ELSEWHY Archives(何処にもない、何も起きていない理由)の編集と継承の営みに深く関わり、形式知の体系化と普遍化を担う段階です。記録された知が未来の安全文化を育む礎となり、過去と現在をつなぐ知が次なる創造へとつながります。
I 内面化
行雲流水(こううんりゅうすい)
蘇軾「与謝民師推官書」より
理論や記録が、実践や感性を通じて自然に身につくプロセスを表します。安全文化の浸透と詩的実践を象徴し、形式知が再び暗黙知として体得される流れです。知識が身体化され、日常の判断や行動に自然に現れるようになり、文化としての安全が根づいていきます。
共助のための伝え合い・育ち合い
このように、SECIモデルの4段階を四字熟語で詩的に可視化することで、SPUS 有用安全考房の活動における知識創造の構造がより明晰に、かつ、文化的に響くかたちで表現されます。中でも「教学相長」は、知名度こそ高くないものの、共助のための伝え合い・育て合いの精神を最も的確に表す言葉として、SPUS
有用安全考房の共同化の象徴といえます。
SPUS 有用安全考房は、この構図を研修資料やプロファイルに展開し、有用安全の思想を広く伝えるとともに、知の濃度と共鳴の質を守る場を作りつづけます。
これらのプロセスが、安全文化における知識創造の基盤となります。
四知モデル ー 知の新しい定義
SPUS 有用安全考房は、智・茅・知・値で表現する新しい四知モデルを提案しています。
| 四知モデル | 区分 | 意識 | 認識 | 性質 | 象徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 智の泉(ちのいずみ) Tacitability Fountain |
暗黙知 Tacit Wisdom |
無意識 | 無認知 | 感性 | 泉 |
| 茅の森(ちのもり) Implicitability Countain |
暗想知 Implicit Knowledge |
有意識 | 無認知 | 思性 | 森 |
| 知の山(ちのやま) Explicitability Mountain |
形式知 Explicit Knowledge |
有意識 | 有認識 | 考性 | 山 |
| 値の空(ちのそら) Precognitability Cloutain |
象想知 Precognit Wisdom |
無意識 | 有認識 | 閃性 | 空 |
四知モデルは、知識生成のプロセスを「智・茅・知・値」の四層として体系化したSECIモデルの拡張版です。
意識・認知・象徴・生成機能の観点から各層を明確に区別し、知識がどのように湧出し、揺らぎ、構造化され、未来価値として立ち上がるかを記述します。
1.智の泉(ちのいずみ) Tacitability Fountain
智の泉とは、身体知・経験知・感性知が無意識の領域から湧き出す源泉であり、知識生成の起点となる層です。この層は SECIモデルの Tacit(暗黙知)に対応し、共同化によって他者との経験共有を通じて深まり、知の生成の基底を形成します。
• 世界からの呼びかけ
• 気配・場の読み取り
• 身体感覚
• 言語化以前の知
• 無意識の静けさの中で立ち上がる智
2.茅の森(ちのもり)Implicitability Countain
茅の森とは、暗黙知が有意識下で揺らぎながら形を得はじめる生成の層であり、思考の萌芽が複数の方向へ分岐する中間領域です。この層は SECIモデルの
Externalization(表出化)に対応し、暗黙知が言語化へ向かう前段階として機能します。未分化の揺らぎを保持しつつ、知の方向性を生み出す場です。
• うっすらとした意味の立ち上がり
• 「こうしたい」「これは大事だ」という方向性
• 言葉になる直前の知
• 内側での共鳴
• 暗黙智が“思い”として芽生える段階
3.知の山(ちのやま)Explicitability Mountain
知の山とは、暗想知が言語化・体系化・標準化され、構造化された形式知として積み上がる層です。この層は SECIモデルの Explicit(形式知)および
Combination(連結化)に対応し、制度知・文書知・規格知として社会的に共有可能な知識を形成します。
• 言語化
• 図式化
• 構造化
• 論理的説明
• 再現性
• 組織文化としての定着
4.値の空(ちのそら)Precognitability Cloutain
値の空とは、形式知を超えて未来の価値を象徴的に把握する象想知の層であり、無意識のまま高度に認知される未来洞察が立ち上がる領域です。この層は SECIモデルの
Internalization(内面化)を未来生成へ拡張したものであり、知識が未来の価値との出会い(Encounter)として再構成される場です。象徴化された未来像が静かに立ち上がり、知の循環を次の智の泉へと接続します。
• ひらめき
• 無意識の高速パターン認識
• 構造化された無意識
• 熟達者の境地
• 分析を超えた洞察
• “悟り”に近い認知の働き
四知モデルの循環構造
四知モデルは循環によって知識生成を継続します。
智 → 茅 → 知 → 値 → 智
•智:湧出
•茅:揺らぎ
•知:構造化
•値:未来価値化
この循環は、知識生成の哲学(Tacitability/Implicitability/Explicitability/Precognitability)と整合し、知識運用の基盤として機能します。
智の泉・茅の森・知の山
生きたリスクアセスメントのために
リスクアセスメントには、数値や手順だけでは捉えきれない「静かな知、不確かな知」が存在します。現場で生まれる気づき、心の揺れ、そして兆しの気配。これらは事故や災害を未然に防ぐうえで欠かせないにもかかわらず、従来の枠組みでは十分に扱われてきませんでした。
この “見えない知、見え始める知” を丁寧に扱うための枠組みが、影種 Still Well・揺味 Live Shift・紀射 First Glow
という智の泉です。これらのうち、影種・揺味は感じなければ気づかない暗黙知、紀射は感じて得られた影種と揺味から思い浮かび上がる暗黙知です。智は、静・動・湧という異なる観察様式を通じて、暗黙知を判断へと変換するための閃来・結灯の基盤です。暗黙知を智の泉
(Tacitability Fountain) と呼びます。
1.スティル・ウェル Still Well
影種【かげめ】、静の泉、嗅覚智、変更点、洞察性
根源の泉 Tacitability Fountain of Origins、暗黙知 Tacit
もの、状況、部位、衝撃、ひどさ
影種は、沈黙の底に沈む気配と、溢れてこない痕跡を静かに集める “智の泉” です。
ここでは、他の知と繋がっていない微細な暗黙智である微源知 (Tacit Lore) が湧き出し、
そこから兆しの経過である痕跡知 (Sign Trace) が掬い上げられます。
微源知【びげんち】/ Tacit Lore
他の知と繋がっていない無形の暗黙知
まだ言葉にも形にもなっていない “気配の知”
痕跡知【こんせきち】/ Sign Trace
微源知から兆しの経過をたどり、暗想知へと向かう前段階の知
影種は、「見えないものを見える化する前の静かな層」を扱う枠組みであり、
リスクアセスメントにおける “静の観察” を司ります。
2.ライヴ・シフト Live Shift
揺味【ゆらじ】、動の泉、聴覚智、変化点、俯瞰性
揺動の泉 Tacitability Fountain of Motions、暗黙知 Tacit
潜力、変化、撃力、連続性、懸念
揺味は、均一でも完全でもない「生きた揺らぎ」を扱う “智の泉” です。
ここでは、無意識下に隠蔽されている内的特性である幽思知 (Mind Veil) が湧き、
外部環境との相互作用によって生じる依迎知 (Anchor Drift) が流れ出します。
幽思知【ゆうじち】/ Mind Veil
無意識に隠れている内的な性質
自分でも気づかない “心の影”
依迎知【いげいち】/ Anchor Drift
拠り所へ迎合し、外部環境に引き寄せられる外的な性質
場に応じて変容する “心の流れ”
揺味は、「人の状態が場と相互作用して生まれる動的な変化」を扱う枠組みで、
リスクアセスメントにおける “動の観察” を司ります。
3.ファースト・グロー First Glow
紀射【きざし】、湧の泉、触覚智、変異点、推理性
予兆の泉 Tacitability Fountain of Foreshadowing、暗黙知 Tacit
危険源、危険状態、危険事象、危害、危険性
紀射は、そっと立ち上がる、微細で未分化の気配や意味を扱う“智の泉”です。
ここでは、静かな層に潜む断片的な知である断片知 (Piece Shard) が湧き上がり、
それらが密やかに結びつくことで統合知 (Unified Insight) が形を帯びていきます。
断片知【だんぺんち】/ Piece Shard
静かな層から湧き上がる、微細で未分化の知の断片
まだ方向性も輪郭も定まらない “芽生えの知”
統合知【とうごうち】/ Unified Insight
断片知同士がひそやかに結びつき、意味の糸として立ち上がる知
経験・直観・場の気配が重なり合って生まれる “最初の推測”
紀射は、「静と動が重なり合うことで立ち上がる生成の層」を扱う枠組みであり、
リスクアセスメントにおける “湧の観察” を司ります。
4.シャイン・カム Shine Come
閃来【ひらめき】、閃の森、視覚茅、変容点、透観性
生成の森 Implicitability Countain of Emergence、暗想知 Implicit
閃来は、影種・揺味・紀射で立ち上がった断片的な気配が、
像として一気に立ち上がる “茅の森” です。
ここでは、静かな層に潜んでいた知が結びつき、
危害の像(Harm Image) として視覚的に現れます。
閃結知【せんけつち】 / Flash Bind
断片的な知が一瞬で結びつき、意味の糸として像を結ぶ知
静かな層に散らばっていた断片が、ひとつの危害像として立ち上がる“結びの瞬間”を担う
映照知【えいしょうち】 / Image Glow
危害の広がりや深さを、像の明暗として感じ取る知
危害がどの方向へ伸び、どれほど強く現れるかを、視覚的な照り返しとして読み取る
閃来は、「静と動が重なり合うことで立ち上がる生成の層」を扱う枠組みであり、
リスクアセスメントにおける “閃の観察” を司ります。
5.セイヴァー・ライト Savor Light
結灯【むすび】、照の山、味覚知、判然点、判然性
照合の山 Explicitability Mountain of Savoring、形式知 Explicit
結灯は、閃来で立ち上がった危害の像を、味わいとして照らし合わせる “知の山” です。
ここでは、危険源・危険状態・危険事象・危害のつながりが、
一つの危険性(Hazardousness)として結ばれ、
その妥当性が 味覚知(Taste Insight)によって確かめられます。
味察知【みさつち】 / Taste Sense
危害の像に触れたときに生じる、好き嫌い・違和感・納得感といった “判断の味” を捉える知
数値や手順では扱えない、人間固有の価値判断の揺れ を映し出す
照度知【しょうどち】 / Glow Gauge
危険性の重大さ・広がり・深さを、灯りの強弱として感じ取る知
危害の像がどれほど “重い” か、どれほど “広がる” かを、灯りの濃淡として味わい、判然性へと導く
結灯は、危険性を「危ない」「十分」「足りない」と判然とした灯りへと変換する層で、
リスクアセスメントにおける “照の観察” を司ります。
エルスワイ・アーカイヴス Elsewhy Archives
何処にもない理由、何も起きていない理由
リスクアセスメントのためのナレッジ・データベース『好事例の知録』
エルスワイ・アーカイヴスは、暗黙知から想像される暗想知をもとに、
意味を可視化するために整列した瞑想茅を文章という形式知に整え、
未然防止の秘訣を蓄えた知録(ナレッジ・データベース)です。
影種・揺味・紀射・閃来・結灯を適切に接続することにより、
災害が起きていない理由や静かな気配を詩的に表現します。
知の鮮度が保たれたエルスワイ・アーカイヴスは、
生きたリスクアセスメントを支える “知の源泉” です。
暗黙知や暗想知を扱うデータベースながら、
文章と同じように形式知として扱うことが可能です。
数値を読み込み、演算し、比較できる機能があり、
RA/5Rs の判断基盤として利用できます。
ゲシュタルトアプローチ
ゲシュタルトアプローチによるリスクアセスメント
リスクアセスメントでは実施する人の知識と技能が試されます。経験を基にすることは多いですが、過去のトラウマが未解決の問題を抱えている場合には、適切なリスクアセスメントが行えません。もちろん気づかない場合もありますが、心理的に『無意識の隠蔽』が悪く働く場合も多いといえます。また、何らかのものに依迎してしまい、思っていることとは違う行動が現れる場合もあります。
この状況を解決するためには、本来は過去の経験を活かすべきところを、今・ここの現実に焦点を当てて、感情や行動などの自己理解を深めて、対処することが重要です。この考え方がゲシュタルト・アプローチ
(Gestalt Approach) で、心理学や現象学などを統合したゲシュタルト療法の基礎になっています。
ゲシュタルトアプローチの自己意識の向上、コミュニケーションの活性化、リーダーシップの発揮などは、適切なリスクアセスメントのために必要な要素になっています。
ゲシュタルトアプローチ (Gestalt Approach) とは
ゲシュタルト・アプローチは、独国のフリデリック・サロモン・パールズらによってゲシュタルト療法として発展し、現代の様々な心理療法や自己啓発に影響を与えています。
1. 全体性の重視
個々の要素ではなく、全体として知覚や経験を重視する
2. 図と地
ある要素が前面(図)に出て、他の要素が背景(地)になる関係性に注目する
3. 現在(今ここ)の重視
過去や未来ではなく、現在の体験に焦点を当てる
4. 気づき (Awareness) の促進
自己や環境への意識的な気づきを促進する
5. 変容のパラドックス (Paradox)
変容は自分自身をあるがままに受け入れた時のみに起きる
6. 体験の強調
理論的な分析よりも、直接的な経験や実験を通じた学びを重視する
7. 応答する力と選択
環境に対して自らが対応していく力を自覚する重要性を強調する
ゲシュタルトアプローチにより、以下のメリットが得られます。
・自分自身についての理解を深め、成長させ、創造性を高める
・コーチングの実践に新たな深みを加え、効果的なリーダーシップを発揮する
・自己の意識を高め、部下や同僚とのコミュニケーションを豊かにする
実感研修 (Actual Feel Study)
全体性の重視、図と地の関係性、今ここの重視、気づきの促進、直接的な体験や実験を通じた学びなど、リスクアセスメントにおける特に危険源・危険状態・危険事象を同定する段階では、ゲシュタルトアプローチは非常に有効です。実感研修で培われる暗黙知を繰り返し実践することにより、「無意識の知恵」として身についていきます。
SPUS 有用安全考房の実感研修は、ゲシュタルトアプローチの考えを取り入れ、リスクアセスメントの対象とする機械装置の実体モデルをベースに機械装置の仕様を仮想化し、俯瞰による全体感と実体験による気づきを深めていく、有効性の高い実践的な研修です。
自己理解を深めるプロセスは、実務における判断と行動を支え、安全文化の質を高めます。
アフォーダンスアプローチ
アフォーダンスアプローチによるリスクリダクション
リスクリダクションでは、単に危険性を除去するだけでなく、人が自然に安全な行動を選べるようにすることが重要です。知識や訓練だけでは限界があり、環境が「安全な動き」を誘導する力を持っていなければ、リスクは残り続けます。
この課題に対して、環境が持つ『誘導性(アフォーダンス)』に着目し、行動が無理なく安全へと導かれるように設計・評価するのがアフォーダンスアプローチです。これは知覚心理学やデザイン理論を統合した実践的な枠組みであり、リスクリダクションにおいて非常に有効です。
アフォーダンスアプローチは、行動の自然性、環境との調和、直感的な安全性の確保など、適切なリスクリダクションのために欠かせない視点を提供します。
アフォーダンスアプローチ (Affordance Approach) とは
アフォーダンスアプローチは、米国のジェームズ・ジェローム・ギブソンの知覚理論に基づき、環境が人に提供する『行動の可能性』に注目した方法です。現代では安全設計、教育、福祉など多様な分野に応用されています。
1. 誘導性の重視
環境が自然に行動を促す力(アフォーダンス)に注目する
2. 関係性の知覚
人と環境の相互作用を通じて、意味ある行動が生まれることを理解する
3. 状況依存性
行動は文脈に依存し、同じ環境でも状況により異なるアフォーダンスが生じる
4. 直感的な理解
言語や理論よりも、身体的・感覚的な理解を重視する
5. 自然な安全性
安全な行動が「努力なく」選ばれるように環境を整える
6. 実体との接触
抽象的な説明よりも、実物との接触を通じて理解を深める
7. 選択の支援
人が自ら安全な選択をできるよう、環境が支援する設計を目指す
アフォーダンスアプローチにより、以下のメリットが得られます。
・安全行動が自然に選ばれる環境を設計・評価できる
・リスクリダクションにおいて、机上の理論では見えない「誘導性」に気づける
・現場の直感的な理解を促進し、チームの安全文化を育てる
実践診断 (Real Practice Diagnosis)
安全性・生産性・経済性のバランスを図るには、安全機能が意図したとおりに成立しているかを実環境で確かめることが重要です。SPUS 有用安全考房の実践診断は、危険性同定のシナリオを基盤に、空間配置・モード構成・時間作動などの成立条件を、アフォーダンスアプローチの視点を交えて読み解きながら、安全機能の妥当性を評価します。
実体モデルを用いた診断では、机上では見えにくい「時間遅れ」「誤動作」「協奏モード」「手順の影響」を実際の動作として観察し、設計意図が現場でどのように立ち上がるかを体験的に確認します。これにより、危険の芽を確実に抑えるための構造化力・同期化力・統合化力が育まれ、参加者同士の議論を通じて、安全機能が“なぜ成立しているのか”を読み解く感性が磨かれます。
環境が人の行動を自然に導くという視点は、安全文化の形成に不可欠でといえます。