適切なリスクマネジメントのために

　エルスワイ・アーカイヴス (ELSEWHY Archives) とは、災害や事故が発生していない理由を記録・共有するための「未然知の宝庫」です。これは、現場において「何も起きていない」ことの背後にある、兆しや感性、工夫、場の気配といった未然知を、詩的かつ構造的に蓄えることにより、多くの方々から気づきとして活用していただくことが目的です。

エルスワイ・アーカイヴス (ELSEWHY Archives) とは

　エルスワイ (ELSEWHY)とは、「なぜ起きていないのか」という問いに対する、非顕在的な知の記録です。形式知ではなく、感性や象徴、物語として知覚されるものであり、未来の安全設計における指針となります。

　エルスワイ・アーカイヴスでは、以下のような未然知を収集・編集・保存します。

1) 兆しの記録
風の音、作業者の沈黙、道具の配置など、場に宿る微細な変化を記録します。

2) 工夫の記述
設計変更や作業順序、注意喚起など、意図的または偶発的な工夫を記述します。

3) 感性の編集
作業者の直感や違和感、安心感など、言語化されにくい知覚を編集します。

4) 詩的な構造化
記録は文章や図、比喩、物語など、詩的な形式で保存します。

　エルスワイ・アーカイヴスを、SPUS 有用安全考房の４つの原則である「リスクプラクティス」「リスクアセスメント」「リスクリダクション」「リスクマネジメント」と連携させて、以下のような活用に展開します。

・災害や事故が起きていない理由を対話的に探る場として活用します。

・安全設計における未然知の診断項目や評価指標として導入します。

・好事例の背後にある静かな知を詩的な事例集として共有します。

必然性を適正に評価する文化の醸成

　エルスワイ・アーカイヴスは、安全の魂に耳を傾ける技術です。起きていないことに意味を見出し、未来の災害や事故を未然に防止するための静かな知の宝庫として機能します。そして、災害や事故が起きていないことの必然性が、適正に評価される文化を醸成していきます。